こんにちはまつお(@matsuo_edu)です。
皆さん自身の自己肯定感は高めですか?それとも低めですか?
お子さんや皆さんが関わっている子で「自己肯定感」が低い子っていませんか?
僕は僕で価値がある、自分ならやれるはずだ、こういう自分に対する信頼感が低い子は人生に対して悲観的になってしまい、本来有しているはずの力を上手く発揮することができません。
この時代にあって自己肯定感は極めて大事な非認知能力ですが、物凄く力をもった子でも、周囲の人間が与える影響によっては自己肯定感が低い子どもに育ってしまいます。今回は小学校教師の立場から、事例と対策をセットでお話させていただきます。
デリケートな内容だけど、凄く凄く大事な話だね
「秀でる何か」があっても自己肯定感が低い子ども
もしあなたが「自己肯定感の低い子=能力の低い子」と捉えているとしたらそれは大間違いです。
偉そうに断言したけど僕はそう思っていました。
僕が関わった子で全国大会に出場するレベルの競技実力を持っている子がいます。その子も極めて自己肯定感が低いんですよ。全国レベルなのにです。
全国大会に参加できるって凄すぎない!?
それでも「自分の良いところはあるか」という設問に対して、「全くない」と回答する。「先生は認めてくれるか」っていうところにも「あまり認めてくれない」と回答する。「学校が楽しいか」にも「あまり楽しくない」の回答。
人生に悲観的になっている様子があります。自己肯定感に関わるチェック項目で、極めて低い評価を出すんですね。
競技で頑張るから勉強はほどほどで良いという保護者の意向
実は何でなんだろうって不思議だったんですよ。
この家庭は1年前に「競技に集中しているからあまり勉強のことは言わないでやって欲しい」と面談で言われたことがあった家庭です。僕は内心「おいおい、そんなこと言っても勉強できなくなると困るぞ…」と思ったのですが、最終的な責任を背負うのはその子と保護者なので受け入れていました。
教員はサービス業だなあって思ったけどね(笑)
元々勉強で良い成績ではなかったので「競技で生きていく」選択肢もあるかもと思いながら、多様な生き方を僕は受け入れるスタンスでした。そっちの世界(競技の世界)で自分って凄い!誇れる人間だ!ってなってくれたらそれはそれで良いと思っていたのですね。
保護者の意向もあるし、自分が見る学校生活の間だけこの子のために関わろうと思っていました。
競技が好成績でも自己肯定感は下がり続ける一方
しかし、時間が経っても自己肯定感は低いままです。
むしろ、年齢が上がってきて上位成績を収めることも多くなってきたのに、否定的な見方やネガティブな回答は強化されているように感じました。
何で!? 良い結果を収めているのに!?
僕は「何でこうなっちゃう?」と思っていました。得意な所で一点突破で頑張る学童期って悪いことではないと思っていたのですが、何が課題として残っているんだろう…ずっとそんな風に思っていたのですね。
それが、今回の保護者との面談で「自己肯定感」を話題に出した時のやりとりで分かりました。
なぜ自己肯定感が低い状態だったのか、その原因は?
でも個人面談で保護者の方と話をして納得したところもあったんですよね。
その子は全国大会レベルの大会にも出て良い成績を収めているんですが、それでも指導者から「参加しただけでは意味がない。全国で勝てなければ意味がない」と褒めてもらえないようです。
実力あって大会にも出てる、それでも褒められなければ自己肯定感は育たないってこと!?
一般的な感覚では、全国大会まで出場できるのがもう凄いですし、積み重ねてきた努力、過去の自分からの成長は著しいものがあるはずです。
大人が発する↑↑↑のシグナルが子どもを苦しめる
この子の心に負の影響を与えている物がはっきりと分かりました。
それは指導者や周囲の大人が「もっと良い成績を収めることを期待して褒めない。認めない。」という一点に尽きるのではないか。つまり、上に上に、向上せよ、良い成績を収めよと「↑↑↑」のシグナルを大人が出すことでこの子は「自分はもっとやらなきゃいけないのに」「求められているのにできない」となってしまう。
僕なら逃げ出したくなるな…
でしょ? 子どもも同じだよ。認められなければ自分で自分を褒められないのは子どもも大人も一緒。
本来「ものすごくできている」のに、周囲の大人の振る舞いで一気に「全然できないやつ」に変わってしまう。指導者側もそこまで深く考えていないでしょうが、子どもの心を傷つけてしまっています。
最近読んだ本でも同じような状況で苦しんでいる人がいた
この話を聞いて、子どもだけでなく大人も同じ「病」にかかっていると思います。
話を聞きながら最近読んだ本に繋がりました。人口も減り消費も減る時代で前年同期比で+成長は厳しいのに、「もっともっと上を」求められてうつ病寸前になり退職した髙坂勝さんの本です。(何度か弊ブログでも紹介しましたね)
うつ病寸前になって社内では良い成績を収めているにも関わらず、もっともっと…と上を求められた結果、心身を壊してしまう。自分はなんてダメなやつだんだって思ってしまう。そういう話をされていました。
やみくもに上を向けば良いって訳ではないからね。
そこから著者は退社して放浪の旅に出て自然の美しさを見つめる時間すらなかったことに気付き「減速して自由に生きる」道を歩みはじめたのですが。
とにかく「成長」が必要、「成長」していなければ価値は無いって価値観の中で生きていると苦しいです。そんな環境下で自己肯定感は高まる訳が無いのだと腑に落ちました。
大人が自己肯定感の低い子どもにしてあげられることは何?
ここまで、僕の体験から自己肯定感の低い子どもの原因をまとめてきました。単刀直入に言えば
周囲の大人が「成長」を求めすぎて評価しないから
これに尽きると思います。
僕らができるのは乾いた心への「水やり」だと思う
では、自己肯定感が低い子ども達に私たちは何ができるでしょうか?
身近な大人が、子供を認めて、君の素敵なところはここだよ。こんな素敵が君にはあるんだよ。ということを伝えていく必要があります。「成長」ばかり求められる子どもは本当に苦しいし、その環境下では自己肯定感は育たない事を痛感しました。
能力を持っているだけでは、子どもは自分を自分で愛せる人間にならない。
うちの2歳児の教育にも生かしていこっと!
必ず「認めてあげる周りの大人の存在が必要」だっていうことを僕はこの子から学びました。
だから僕は関わる子ども達には「あなたの良い・素敵な所」をしつこく、言葉は変ですが執拗に伝えていかなきゃいけない。本当に僕はそう思っています。ある意味、大人の責任でその子を認めてあげる訳です。
今回はその覚悟ができた面談だったように思います。
子ども同士の認め合いも改善の手段になり得る
最高なのは子が信頼している大人からの承認だと思いますが、子ども同士の承認も良い影響を及ぼします。僕が今年行ってみて有効だった内容を過去記事で紹介しているので参考にしてください!
皆さんは周りの子供我が子や学級の子どもいい所たくさん伝えてあげられていますか。
日々の中で難しい事ですが、伝えておきましょう。それが大人として子ども達に現代の生き難い社会を「生き抜く力」を渡すことに繋がると思います。
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