この単元では、流れる水には地面を削る「浸食」、土砂を運ぶ「運搬」、土砂を積もらせる「堆積」という3つの働きがあることを学習します。教科書には、それぞれの働きについて分かりやすく説明されています。しかし、言葉の意味を覚えることと、実際に起きている現象を理解することは別です。
心の友「地面を削る働きを浸食という」と覚えたとしても、子どもたちの中にその現象がどれほど具体的にイメージできているかな?
今回は、一人一台端末を活用し、実験の様子を動画で記録・共有する授業を行いました。私が大切にしたのは、実際に体験した現象を、動画を使って何度も何度も確かめられるようにすることです。
単元構成について
今回私が紹介する実践は赤字部分、つまり流れる水の初期段階の実験です。
- 【本実践】地面を流れる水-浸食・運搬・堆積の働きについて
- 川の流れとそのはたらき-山の中や海の近くの流れの速さや石の大きさ、内側外側の浸食の力
- 流れる水の量が変わるとき-洪水、雨量による浸食などの破壊力の違い
それでは見てみましょう。
まずは実際に水を流してみる!(映像あり)
最初に、浸食・運搬・堆積の働きを確かめるための実験を行いました。実験では、4人グループを基本とし、それぞれに役割を設定します。
- 台を斜めに傾ける人
- タブレットで実験を録画する人
- 水を流す人
- 実験の様子を観察する人
役割は固定せず、順番にローテーションするようにしました。実験の進め方については、細かく指示しすぎないようにしました。子どもたちがグループで相談しながら、自由に水を流して試せる時間を大切にしたかったからです。
すると、子どもたちは夢中になって実験に取り組み始めました。
「もっと水をいっぱい流してみよう!」「こっちの方が削れるんじゃない?」
そんな声が自然と生まれます。そして、水をたくさん流してみると、実際に地面が大きく削られることに気付きます。私は、このような「遊んでいるような感覚」がとても大切だと考えています。
教師から与えられた実験手順をなぞるだけではなく、自分たちで条件を変えて試してみる。その中で予想外の現象に出会い、自分なりの気付きを得ていく。こうした経験が、理科の学びを豊かにしてくれます。
実験を動画で記録し、Teamsで共有する
今回の実践の流れは以下です。
- 各班のタブレットで実験を撮影してもらう。
- Teamsにある学年のチームへアップロードさせる。
- 教師が動画をダウンロードし、ファイル名を「1班」「2班」と変更。
- 全ての動画を圧縮フォルダに入れてteamsで再配付する。
- 授業日の朝に、児童端末からダウンロードさせる。
- 授業中に、ダウンロードから動画を再生して学ぶ。
特に大事なのが⑤の作業です。



授業が始まってから動画を探したり、ダウンロードしたりするのではなく、あらかじめ準備しておくことがポイント!!
このように事前準備をしておくことで、授業時間を動画のダウンロードやファイルの受け渡しに費やすことなく、学習そのものに使うことができます。
まずは班のみんなで動画を見て楽しむ!
授業では、いきなり個人で動画を確認するのではなく、まずは実験を行った班のメンバーで動画を見返す時間を設けました。
「ここ、めっちゃ削れてる!」「このとき、すごい勢いで水を流したよね!」「もう一回見てみよう!」



みんなで学ぶ楽しい時間♪
実験を思い出しながら、みんなで動画を見ます。私は、こうした時間も学級経営の面で大切にしています。一緒に活動したことを振り返り、面白かったことや驚いたことを共有する。学習内容だけでなく、仲間と経験を共有することにも価値があると考えているからです。
そして、班での振り返りが終わったら、今度は一人一人が自分のタブレットで動画を確認していきます。
動画を何度も行き来しながら、自分の考えをまとめる



ここからが、今回の実践で最も大切にしたかった時間だね。
子どもたちは、自分のタブレットで動画を再生したり、一時停止したり、少し前に戻したりしながら、実験の様子を何度も確認していきます。
そして、次のような視点で理科ノートにまとめていきました。
- 川の内側と外側では、どちらが浸食されたのか。
- 浸食が起こったのはどうしてか。
- どのようなときに、浸食する働きが大きくなるのか。
- 土砂はどのように運ばれ、どこに堆積したのか。
実際に実験をしたときには、「あっ、地面が崩れた!」という一瞬の感動があります。
もちろん、その体験自体にも大きな価値があります。
しかし、実験は一度きりです。現象が起きた瞬間を、もう一度見たいと思っても、同じ条件で再現するのは簡単ではありません。ところが、動画で記録しておけば、いつでも何度でも見返すことができます。
しかも、子どもたちは自分の手で動画を前後に動かしながら、現象が起こる前と後を比較できます。
「水を流す前はこうだったのに、流した後はここが削れている」「外側の方が大きく削れているのは、水の流れが速いからかな?」
このように、実際に自分たちが体験したことと、目の前で起きている現象を結び付けながら考えることができます。教科書に書かれた「浸食」という言葉を覚えるだけではなく、実際の自然界で起きている現象として理解していくことにつながります。
一人一台端末は、気付きを加速させる学びの道具
一人一台端末の活用というと、ドリル問題を繰り返し解いたり、調べ学習をしたりする使い方もあります。もちろん、それらも有効な活用方法です。
しかし、私は今回の実践を通して、タブレットにはもっと大切な役割があると感じました。それは、子どもたちの気付きを加速させることです。
実験で体験した現象を動画として残し、それを自分の手で何度も確かめる。自分のペースで再生し、戻し、比較しながら、自分なりの意味を考えていく。
これは、算数における自力解決の時間にも通じるものがあると思います。算数では、問題に対して一人一人が自分なりの方法で考え、解決していく時間が大切にされています。
理科でも同じように、目の前の事象を何度も見ながら、その意味を考えていく時間は極めて有用です。教師が説明して理解させるだけではなく、子ども自身が事象と向き合い、自分なりの気付きを積み重ねていく。そのための道具として、一人一台端末は大きな可能性をもっています。
今回の実践では、実験を動画に残したことで、一度きりだった体験を、何度でも確かめられる学習へと変えることができました。そして、その学習を支えていたのは、Teamsでの動画共有や、授業前のダウンロードといった事前準備です。ICTを活用すること自体が目的ではありません。
子どもたちがより深く考え、自分で気付き、学びを進めていくために、ICTをどう使うのか。今回の「流れる水の働き」の実践は、そんなことを改めて考える機会になりました。
次の小単元の進め方も、一人一台端末×動画で徹底活用(次記事)
次の小単元は青字になります。こちらでも動画が大活躍しました!そこまで紹介すると長くなりますので、また別記事にしますのでクリックください!
- 地面を流れる水-浸食・運搬・堆積の働きについて
- 川の流れとそのはたらき-山の中や海の近くの流れの速さや石の大きさ、内側外側の浸食の力
- 流れる水の量が変わるとき-洪水、雨量による浸食などの破壊力の違い
最後までありがとうございました!


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